メモ161
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空気人形


映画を観ました。日曜の初回上映、9:20から。
是枝裕和監督の最新作。


すごいよかったです。
よかった、という表現が必ずしも心がほっこりしたり、感動したりするものばかりではない、ということもまたあるのだけれど、まさにそういう類の、よかった、です。
「歩いても、歩いても」も傑作だなぁと思いましたが、こちらも十二分に。


これは寓話であり、ファンタジーであり、とても心が苦しくなる話でした。
ざっくりあらすじを話すと、とある空気人形(性的な用途の)が心を持ってしまい、そんな彼女が外に出て人と触れ合い、また孤独を知っていく。
そんなお話。

空気人形を演じるのはぺ・ドゥナ。
これがまた、とっても可愛らしい。動きからそのたどたどしく話すその仕草。
まさに女優といったその演技は一見の価値あり、ではないだろうか。
また、役柄的にも、そういった性的なシーンは都度あるのだが、そこまでいやらしくなく(モロに見えてはいるのだけれど)、それ以上に空気を口で入れるそのシーンが非常に目を見張るものであった事は言うまでもない。


「心を持ってしまったことは悪いことなのだろうか」

元々は心という、感情を持たなかった彼女は自身に問いかける。
私たちも、日々の中で「何も考えずにやりすごすことができたら」「こんな無駄な感情がなかったら」などといった気の迷いが起きることもあるかと思う。

けれど、そんなことはないと思う、んだよなぁ。
人は、心があって誰かとその機微を伝え合って生きていて。
もちろん、この映画に出てくるような「孤独」を抱えた人たちも沢山いる。
でもそれは誰かとの触れ合いを知っているからこその「孤独」だろう、きっと。
誰との触れ合いも知らない人こそが、空気人形なのかもしれない。
だから途中から、ぺ・ドゥナは「人」になったのかもしれない。

ベンチに座った老人が
「この街の大半はそんなやつらばかりだ」
といったような内容のことを言うが、
そんな彼らは何かしらで「満たされた」ことがあるからこそ、
「孤独」を感じているのだ。
心があるから。

観ていて、都度苦しくなる場面があったのだけれど、
その感想はこの映画を観た人と、その話題を交わす時にでもとっておこうと思う。

私たちは、十二分に素敵な世界を生きているのだなぁ、と思いながら。
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by arittakewinds | 2009-10-18 23:55 | memo
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