観てきました。少し前だけれど。 吉田修一原作、李相日監督。 よかったです。 といっても、楽しく心が高揚する良さ、ではなく。 以前観た中で言えば、中島哲也監督の「告白」に近い後味でした。 内容は全然違うけれど。 後々考えさせられる、そんな後味のある映画でした。 タイトルにもある「悪人」とは誰なのか。 そんな問いを、観終わった後にその場の誰かとしたくなる。 しても良いのだろうかと考えたくなる。 ぼーっと帰宅するその道中、考えていました。 私もあの中の登場人物足り得たとしたら、悪人だったのだろうか。 きっと、悪人だっただろうと。 小学生の、あの昼休み。 図工室でみつけたスプレー缶で遊ぼうとした私たちは、眼前の壁に向けてノズルをかざし、そのスイッチを強く押しました。 その瞬間、赤く染まったのは壁だけでなく、2人の小学生。 勢いが強かったその塗料は壁から反射し、私たちの服や顔を塗りたくっていました。 半泣きになりながら教室に戻った私たちが 午後の授業の初めに先生に言った言葉は、「上級生にやられた」でした。 その後、上級生の教室に連れて行かれたり、色々と絞られ、結末は、どうだったかなぁ。嘘がばれて、怒られたんだっけかな。 でも今あの頃の私たちを思い出すと、嘘つきの、悪人でした。 知らない誰かに罪をなすり付けた、意地悪い悪人。 人は、感情の起伏によって思いもがけない言葉を発してしまうことがある。それって、仕様がないことなのでしょうか。割り切っちゃいけないことなのでしょうか。 作品の中では、登場人物のどうしようもない感情の流れが沸き起こります。 出会い系サイトで知り合った男女が、 その何もない地方の田舎でこうして身体を重ねあうそれは、 どう判断されるのだろう。あの、荒々しくも、悲しいそれは。 でも、そういうものなのかもしれないなんてリアルさがあり、また何が正しいのかがわからなくなっていったり。 何が正しいか、何が悪いのかわからなくなった中で、 唯一確信を持てたことは、九州弁を口にする深津絵里の可愛さ。 そして髪型、衣装などでどこまでも印象を変えることができる女性の恐ろしさを感じました。 最後に、個人的にはあと30分くらい長くてもよかったんじゃないかなと。 でも、よかったです。
by arittakewinds
| 2010-10-17 14:38
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