玄関を開け、家の中に入る。
一歩一歩踏みしめて、中へ。 家に帰ると、とある「膜」が私を待っていた。 「膜」、とは。 一体「膜」とは、何か。 その瞬間の、私の顔をお見せできないことが非常に残念だ。 どんな顔をしていただろう。 とりあえず、目の前には「膜」があった。 私にはわかる。 その「膜」の内側には柔らかい、そう柔らかいものがあるに違いない、と。 鼻を近づけると微かに香る、この匂い。 はて、いつかどこかで。 手を近づける瞬間は、本当に緊張するものだ。 それはまさに未開の境地。 指先が、当たる。 「む」 少々、かたい。 しかし、卵の黄身を箸で割れないようにつつく力を「 1kimi 」とするならば、おそらく 3kimi 程度の力で破ることができるだろう硬さだ。 意を決した私は、力の限り、3kimi の力でその「膜」を押した。 余談だが、私は今朝非常に急いでいた。 今すぐ我が家を飛び出さねば間に合わない。 炊飯器は刻を告げ、手にはかきまぜ中の納豆。 あぁ、こんなことならたまごかけご飯にしておけばよかった。 あの時どれほど悔やんだことか。 そんなわけでやることなすこと中途半端の投げ出し放題。 そして家を後にする私。 結局のところ余裕を持って到着。 あぁ、ハミガキするのにハミガキ粉つけられたじゃないか。 あの時どれほど悔やんだことか。 「膜」を押した瞬間。 やわらかい、そして手にまとわりつくような感触を覚えた。 「あぁ、やっぱり」 隣りに置かれていた蓋を手に取り、溜息をつく。 蓋を閉めようとするが、蓋についた「膜」のカケラが邪魔して閉まらない。 ワックスの蓋は、閉めて出るべし。 これは教訓だ。 そう、この惨状を目の当たりにした私の気持ちを言い表すとすれば、 開いた口が塞がらない、だ。
by arittakewinds
| 2006-05-28 23:54
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